
誰もが理解したい債務整理
国民福祉の向上にとっては安定的な所得の増大が必要です。
したがって、国民所得の増大、平等化、安定化の3つが、現代の国民福祉向上のための重要な指標となります。
昔、ピグーという経済学者が『厚生経済学』という大著を書きましたが、その中で国民所得の増大、分配の平等化、経済変動の安定化の3つを、厚生経済学の目標として指摘しています。
以上のことから、単に実質国民所得がふえるだけではダメ、国民所得が国民所得であるためには、それが財貨やサービスの生産によって生み出されたものであることが条件となります。
たとえば盗みによって生み出された収入は、生産によって裏付けされない収入ですから国民所得の中には含まれません。
個々人から見ると、生産に参加せずに他人から受け取った贈与による収入も所得ですが、しかし国全体として考えると、それはある人から他の人への所得の「移転」にすぎません。
したがって、そういう贈与や盗みによる収入は国民所得には算入されません。
生産活動に伴う収入の源泉だからといって、いろいろの産業で生産された生産額を単純に合計すれば国民所得額が得られるというものではありません。
というのは、たとえば『生産動態調査』や『工業統計表』から得られる自動車工業の生産額には、自動車の生産に必要な鋼板、プラスチック、ゴム、ガラスといった原材料も含まれているからです。
これらは実は他の産業によって生産されたものであって、こういった原材料・エネルギーやその他の中間製品は、自動車工業のネットした価値は、グロス(粗)の生産額からこのような中間製品を取り除いた残余ですレこの残余のことを普通は「付加価値」と名付けます。
自動車工業が生み出した付加価値は、自動車工業で追加した賃金・俸給、利潤、利子配当、レント等によって構成されます。
つまり自動車工業の総生産額から他産業から供給された中間製品を差し引いた残りの価値が付加価値というわけです。
この付加価値はしばしば「粗付加価値」と「純付加価値」とに分けられます。
純付加価値というのは、すでに述べたようにその産業で追加した賃金・俸給、利潤、利子・配当、レント等の合計で、粗付加価値はそれに減価償却費を加えたものです。
そして、いうまでもなく、国民所得の一部としての個々の産業や企業の付加価値は純付加価値ですければなりません。
次に、国民所得が国民所得であるためには、すでに述べたように、それが生産によって生み出された所得であることが必要条件であり、単なる財の「移転」は含まれません。
具体的に財の移転に含まれるものには、「年金」の支払い、「公的扶助」、あるいは「盗品」といったものがあります。
また、たとえば保有する土地や在庫品、あるいは株価の値上がりから生ずる利益や、値下がりから生ずる損失のような、キャピタル・ダイン、キャピタル・ロスも国民所得には含まれません。
在庫品を例にもう少しくわしく説明すると、保有している在庫品が値上がりする場合には、それだけで在庫金額の上昇が発生します。
ただ、この場合、単なる在庫品評価の値上がりのために棚卸資産額がふえるということはいえても、それは国民所得における在庫投資(在庫品増加)の増大とは別のことです。
在庫品の単なる値上がりは、在庫品の金額の増大には相違ないのですが、それが国民所得の一部に含まれるには、在庫品の「実質的な増加」を伴わなければなりません。
在庫品の実質的な増加をその期の平均価格で金額評価したものだけが実は在庫投資であり、国民所得の一部を形成します。
そういう意味で、国民所得を考える場合、それが財貨・サービスの生産によって裏付けられたものであることが絶対に必要になります。
現行の国民所得統計を見ると、第一表に示すように、国民総支出(GNE)という概念が使われています。
これは財貨・サービスへの政府支出、民間投資、個人消費支出を合算し、それに財およびサービスの輸出から財およびサービスの輸入を引いた差額を加えて得られます。
したがって、総需要から輸入を差し引くとGNE、つまり総支出が得られますが、実はこの総支出と「国民総生産」つまりGNPとは等しい金額になります。
そして、総支出あるいは国民総生産の数字から減価償却費を主体とする「資本減耗引当」を差し引けど、「国民純生産」(NNP)に等しい金額が得られます。
イギリスでは国民純生産のことを、「市場価格で表された国民所得」と名付けてきました。
給や利潤や利子、あるいはレントを合算して得られる国民所得と比較して「間接税」の分だけ金額が大きくなるからです。
つまり、間接税の存在はそれだけ市場価格を高めるからです。
そしてもし「補助金」も与えられていれば、補助金の分だけ市場価格が低められる関係にあります。
したがって、NNPつまり国民純生産と国民所得の間のギャップは、「間接税マイなス補助金」という金額に相当します。
そういう意味では、国民所得は「要素費用表示」であり、賃金や配当といった生産要素価格で表示されたものであるといえます。
これに間接税を加え、補助金を差し引くと、「市場価格表示の国民純生産」、つまりNNPになるわけです。
ところで、この国民所得は「税込みの個人要素所得」、人々の賃金・俸給などから差し引かれる「社会保険料」、「税込みの法人留保」、「官公事業の剰余」(あるいは利潤)といったものに分割されます。
そして、このうちの個人要素所得が、いわゆる「個人所得」の主要部分を構成します。
これに企業や政府からの社会保障等に伴って支払われる年金や公的扶助など、つまり「振替所得」(「移転所得」ともいう)を加えたものを「個人所得」と名付けます。
つまり個人所得は、個人の税込みの要素所得プラス振替所得です。
この個人所得はさらに個人消費支出、個人貯蓄、個人税に分割されますが、個人所得から個人税を差し引いたものを一般に「個人可処分所得」といいます。
ところで、先ほども述べたように、国民所得は一方では生産活動に裏付けられたものですくてはなりません。
したがって、生産に裏付けられている限りでは、国民所得には諸産業の付加価値の合計であるという性質があり、各産業の付加価値を合計して国民所得を推計することができます。
しかし、ここで雇用者所得は賃金俸給等を指しますが、企業所得は、法人所得や政府事業所得(利潤)だけですく、農林漁業の大部分ならびに製造業、商業等の一部で生み出された「個人業主所得」を含みます。
この部分は個人経営から生み出されたものであり、いわば勤労所得と利潤所得が混じり合った「混合所得」の性格を有しています。
さて、以上で国民総生産(GNP)も国内総生産(GDP)も大体3一6兆円前後で、金額差は一兆一、370億円にとどまります。
しかし、金額は小さくてもこの差はどうして生じたのでしょうか。
国民所得推計に当たって、「国民」概念を採用すれば、非居住の日本人の海外からの要素所得の「純」流入分も含まれます。
しかし、「国内」概念を採用なるかぎり、属地主義になるため、これは除かれます。
しかし、ここでGNPがGDPより若干大きくなっているのは、その差額だけ海外からの要素所得の受取額がプラスとなり、純受取となっているためです。
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